初心者必見!ベトナム不動産投資の物件価格推移と市場動向を完全ガイド

ベトナム不動産投資

「ベトナム不動産投資に興味はあるけれど、物件価格の推移や市場の動向が分からず、一歩踏み出せない」と感じていませんか?

本記事では、急成長を遂げるベトナム経済が牽引する不動産市場の魅力から、ホーチミンやハノイといった主要都市の具体的な物件価格推移、最新の市場動向までを徹底解説します。
外国人投資家が知るべき法規制の変遷、為替や法制度のリスクとその対策、具体的な購入プロセスや税金、そして2024年以降の将来展望まで、ベトナム不動産投資を成功させるための全ての情報を網羅。

この記事を読めば、ベトナム不動産投資の全体像を把握し、自信を持って投資判断を下せるようになるでしょう。

コジタク

業界歴18年。累計2000組以上の売買取引を担当。自身も100件以上の不動産を購入・売却の経験。自身で金融機関17行を開拓した経験から、金融機関の開拓の仕方・条件交渉のポイント・融資額を最大限に引き出すテクニックを軸に『収益不動産Labo』をスタートし多くの投資家をサポート。テクノロジーを使った収益不動産の分析が強み。”失敗しない不動産投資”を再現性高く結果を出している。

1. ベトナム不動産投資が今注目される理由

ビルや家が複数建っていて、真ん中に太陽の光が差し込んでいるイラスト

近年、ベトナム不動産投資は、世界中の投資家から熱い視線を集めています。 その背景には、目覚ましい経済成長とそれに伴う市場の成熟があります。特に、アジアの新興国の中でも安定した成長を続けるベトナムは、高リターンを期待できる投資先として、その存在感を増しています。本章では、なぜ今ベトナムの不動産市場が注目されているのか、その魅力と投資におけるメリット・デメリットを深掘りしていきます。

1.1 経済成長が牽引するベトナム不動産市場の魅力

ベトナムの不動産市場が注目される最大の理由は、その驚異的な経済成長率にあります。過去数十年にわたり、ベトナムは年平均6%を超える高いGDP成長率を維持しており、これは世界経済の中でもトップクラスの水準です。この経済成長は、国民の所得向上、中間所得層の拡大、そして旺盛な消費需要へと直結し、結果として住宅や商業施設への需要を大きく押し上げています。

また、急速な都市化も不動産需要を加速させる要因です。地方から都市部への人口流入が続き、ホーチミン市やハノイ市といった主要都市では、新たな住宅やオフィスビルの建設が活発に行われています。若年層が人口の多くを占める「人口ボーナス期」にあることも、長期的な不動産需要を支える基盤となっています。

さらに、ベトナム政府による外国人投資家への門戸開放も大きな魅力です。2015年の住宅法改正により、外国人の不動産所有が以前よりも容易になり、海外からの直接投資(FDI)も増加の一途を辿っています。 製造業のサプライチェーン再編(チャイナプラスワン)の恩恵も受け、多くの外国企業がベトナムに進出しており、それに伴う駐在員やビジネスパーソン向けの賃貸需要も高まっています。インフラ整備も急速に進んでおり、都市鉄道や高速道路、国際空港の拡充などが、不動産価値の向上に寄与しています。

1.2 ベトナム不動産投資のメリットとデメリット

ベトナム不動産投資は大きな魅力を持つ一方で、新興国投資特有のリスクも存在します。ここでは、投資を検討する上で知っておくべき主要なメリットとデメリットを比較してご紹介します。

項目メリットデメリット
経済成長とリターン高いキャピタルゲインの可能性: 経済成長と都市化により物件価格の上昇が期待できる。 安定したインカムゲイン: 都市部の賃貸需要が高く、比較的高い賃料収入が見込める。市場の変動性: 新興国市場特有の景気変動や外部要因による影響を受けやすい。 期待リターンの過大評価: 高い成長期待が先行し、実態と乖離するリスクがある。
法制度とリスク外国人投資家への門戸開放: 2015年住宅法改正により、外国人による不動産所有が比較的容易になった。法制度の複雑さと変更リスク: 法制度が発展途上にあり、頻繁な改正や解釈の変更がある。 所有権の制限: 外国人の土地所有は認められず、建物部分のみの所有となる(コンドミニアムの場合)。
流動性需要の高さ: 主要都市では人口増加と経済成長により、住宅・商業施設への需要が継続的に高い。流動性の低さ: 日本や先進国と比較して、売却に時間がかかる可能性や買い手が見つかりにくい場合がある。 情報収集の困難さ: 現地の正確な市場情報や信頼できる不動産会社を見つけるのが難しい場合がある。
為替通貨の安定性: ベトナムドン(VND)は比較的安定しているが、為替レートは常に変動する。為替変動リスク: 円高ドル安など、為替レートの変動により実質的な投資リターンが変動する。
情報と管理多様な投資機会: 住宅、商業、工業団地など、様々な不動産セグメントに投資機会がある。管理運用の手間: 現地での不動産管理や賃貸運用において、言語や文化の違いによる課題が生じやすい。 税制の複雑さ: 取得時、保有時、売却時にかかる税金の種類や計算方法が複雑な場合がある。

これらのメリットとデメリットを十分に理解し、自身のリスク許容度や投資目標と照らし合わせることが、ベトナム不動産投資を成功させるための第一歩となります。

補足として、関連記事を紹介します。ぜひ合わせてチェックしてみてください。

2. ベトナム不動産市場の全体像と市場動向

左側に茶色の屋根の一軒家があり、右側に円グラフや棒グラフが表示されているイラスト

ベトナムの不動産市場は、その堅調な経済成長と人口動態の変化を背景に、近年目覚ましい発展を遂げています。特に外国人投資家にとって、その潜在的なリターンと成長性から、魅力的な投資先として注目を集めています。ここでは、ベトナム不動産市場を形成する主要な要因と、その全体的な動向について詳しく解説します。

2.1 ベトナム経済の成長と不動産市場への影響

ベトナム経済は、過去数十年にわたり高いGDP成長率を維持しており、これは不動産市場の活況を支える最大の要因となっています。世界経済の変動にもかかわらず、ベトナムは安定した成長基盤を確立し、特に製造業とサービス業が経済を牽引しています。外国直接投資(FDI)の積極的な誘致も、工業団地やオフィスビル、商業施設の需要を高め、不動産市場全体に好影響を与えています。

この経済成長は、国民の所得水準の向上と中間所得層の拡大を促し、住宅購入能力の向上に直結しています。都市部を中心に、高品質な住宅や商業施設への需要が着実に増加しており、これが物件価格の安定的な上昇を後押ししています。例えば、世界銀行のデータによると、ベトナムのGDP成長率は近年5%以上を維持しており、ASEAN地域でも有数の成長国として位置づけられています。

2.2 人口増加と都市化がもたらす不動産需要

ベトナムの人口は、現在約1億人を超え、その若年層が非常に多いという特徴を持っています。この豊富な労働力と、毎年約100万人規模で増加する人口は、持続的な経済成長を支えるとともに、強固な不動産需要を生み出しています。特に、若い世代の独立や結婚に伴う新規世帯の形成が、住宅需要を大きく押し上げています。

また、急速な都市化も不動産市場の重要な推進力です。地方からホーチミン市やハノイ市といった主要都市への人口流入が加速しており、これにより都市部の住宅、商業、オフィススペースへの需要が爆発的に増加しています。政府によるインフラ整備、特に交通網の拡充や新都市開発プロジェクトも、都市の拡大と不動産価値の向上に寄与しています。例えば、ホーチミン市の地下鉄建設や、ハノイの環状道路整備などは、周辺地域の不動産価格に大きな影響を与えています。

2.3 外国人投資家向け法規制の変遷と現状

ベトナムの不動産市場が外国人投資家にとって魅力的になった背景には、法規制の段階的な緩和があります。特に、2015年7月1日に施行された改正住宅法は、外国人による不動産所有を大幅に自由化し、市場に大きな変化をもたらしました。

時期主な法改正・制度変更外国人投資家への影響
2008年住宅法改正(試行期間)限定的な条件下での外国人による住宅購入を許可。ベトナムに貢献した専門家などが対象。
2015年7月1日改正住宅法施行観光ビザ保持者を含む全ての外国人がベトナム国内の住宅(コンドミニアム、戸建て)を購入・所有することが可能に。土地の所有権は認められず、建物のみの所有となる。各プロジェクトにおける外国人所有比率の上限(コンドミニアム30%、戸建て10%)が設定される。
2021年投資法改正外国人投資家の投資分野や手続きに関する明確化。不動産投資を含むFDIの促進。
現状現行法規2015年改正住宅法に基づく外国人所有の権利が維持されている。国防・安全保障上の重要地域では購入が制限される場合がある。賃貸や売却も自由に可能。

現行の法規制では、外国人は土地の所有権を持つことはできませんが、建物(コンドミニアム、戸建て、オフィス、商業施設など)を所有し、それを賃貸に出したり、売却したりする権利が認められています。これにより、投資家は賃料収入やキャピタルゲインを期待できるようになりました。ただし、各プロジェクトにおける外国人所有比率の上限が設けられているため、人気物件では外国人枠がすぐに埋まってしまうケースも見られます。投資を検討する際は、最新の法規制や特定の物件に適用される条件を専門家を通じて確認することが重要です。

3. 主要都市におけるベトナム不動産物件価格推移

左側に黒い屋根の一軒家があり、右側にはお金と電卓があるイラスト

ベトナムの不動産市場は、その急速な経済成長と都市化の進展に伴い、主要都市を中心に活発な価格変動を見せています。特にホーチミン市とハノイ市は、ベトナム経済の二大拠点として、不動産投資における中心的な役割を担っています。これらの都市における物件価格の推移と市場動向を詳細に見ていきましょう。

3.1 ホーチミン市の物件価格推移と将来性

ベトナム最大の経済都市であるホーチミン市は、国内外からの投資が集中し、常に高い不動産需要を維持しています。特に中心部や開発が進む新興エリアでは、物件価格の顕著な上昇傾向が見られます。

3.1.1 コンドミニアムの価格動向

ホーチミン市のコンドミニアム市場は、過去数年間で供給が増加したものの、堅調な需要に支えられ、価格は安定的に推移しています。特に、交通インフラの整備や大規模開発プロジェクトが進行中のエリアでは、価格上昇の勢いが強い傾向にあります。例えば、地下鉄1号線の開通を控えるトゥードゥック市(旧2区、9区、トゥードゥック区を統合)やビンタイン区などのエリアでは、利便性の向上期待から、新築コンドミニアムのプレセール価格が上昇し続けています。

一方で、中心部の高級コンドミニアムは、希少性とブランド価値により高価格帯を維持しており、富裕層や外国人投資家からの根強い人気があります。一般的なコンドミニアムの平均価格は、コロナ禍で一時的に伸びが鈍化したものの、経済活動の再開とともに回復基調にあり、特に中級から高級セグメントでの需要が旺盛です。

3.1.2 オフィス商業施設の動向

ホーチミン市のオフィス市場は、ベトナム経済の成長を背景に、国内外企業の進出が活発であり、AグレードやBグレードのオフィスビルに対する需要が堅調です。賃料は、新たな供給が増える一方で、質の高いオフィススペースへの需要が底堅く、中心部では高水準を維持しています。特に、新しいビジネスハブとして開発が進むエリアでは、最先端の設備を備えたオフィスビルが建設され、企業誘致の動きが活発です。

商業施設についても、消費人口の増加と購買力の向上に伴い、大型ショッピングモールや複合施設の開発が進んでいます。オンラインショッピングの普及という変化があるものの、体験型消費へのニーズが高まっており、エンターテイメント施設を併設した商業施設は引き続き高い集客力を見せています。

3.2 ハノイ市の物件価格推移と開発状況

ベトナムの首都であるハノイ市は、政治・文化の中心地であり、ホーチミン市とは異なる市場特性を持っています。政府機関が多く、安定した経済基盤が特徴です。近年は、都市鉄道の開通や環状道路の整備など、大規模なインフラ投資が活発に行われ、これが不動産価格に大きな影響を与えています。

3.2.1 新興エリアの住宅価格推移

ハノイ市の住宅市場は、中心部の供給が限られる一方で、都市の拡大に伴い、西側や南側の新興エリアでの開発が活発です。特に、ミーディン、ハドン、ホアンマイといったエリアでは、大規模な住宅プロジェクトが次々と立ち上がり、若年層や中間所得層の需要を吸収しています。これらのエリアでは、交通インフラの整備や教育機関、商業施設の誘致が進むにつれて、住宅価格が着実に上昇しています。特に、都市鉄道の駅周辺や主要幹線道路沿いの物件は、利便性の高さから人気を集め、高い投資リターンが期待されています。

3.2.2 中心部の不動産動向

ハノイの中心部(ホアンキエム区、バーディン区など)は、歴史的な建造物が多く、再開発が難しい特性があります。そのため、新規の供給が極めて限られており、既存の物件は希少価値が高いとされています。特に、旧市街や湖周辺のエリアでは、伝統的な住宅やショップハウスが観光客や富裕層からの人気を集め、賃貸需要も安定しています。価格は非常に高水準で推移しており、投資目的というよりは、資産保全や長期的な価値向上を目的とした購入が多い傾向にあります。

3.3 その他の主要都市の不動産市場動向

ホーチミン市とハノイ市以外にも、ベトナムには地域経済を牽引する主要都市が複数存在し、それぞれ独自の不動産市場動向を示しています。

  • ダナン市: 中部最大の都市であり、美しいビーチと国際空港を持つ観光・リゾートの中心地です。外国人観光客の増加に伴い、リゾートコンドミニアムやヴィラの開発が活発で、観光需要に連動した不動産価格の変動が見られます。特に、沿岸部の高級リゾート物件は、高い賃貸利回りや将来的なキャピタルゲインが期待されています。
  • ハイフォン市: 北部最大の港湾都市であり、多くの外国直接投資(FDI)が流入する工業拠点です。工業団地の拡大に伴い、工場や倉庫の需要が堅調であり、これに付随して従業員向けの住宅需要も増加しています。経済特区の指定やインフラ整備の進展が、不動産市場を活性化させています。
  • ビンズン省: ホーチミン市の北に位置し、多くの工業団地が集積するベトナム有数の工業地帯です。FDIの恩恵を大きく受けており、工業用不動産だけでなく、工業団地で働く労働者や専門家向けの住宅需要が高まっています。ホーチミン市へのアクセスも良く、ベッドタウンとしての機能も強化されつつあります。
  • カントー市: メコンデルタ地域の中心都市であり、農業や水産加工業が盛んです。近年は、インフラ整備が進み、ホーチミン市からのアクセスが改善されたことで、観光客や投資家の注目も集めています。地域の経済成長に伴い、住宅や商業施設の需要が徐々に高まっています。

これらの都市では、主要2都市ほどの価格高騰は見られないものの、特定の産業やインフラ開発の進展に伴い、安定した成長と投資機会を提供しています。地域ごとの特性を理解し、投資目的に合った都市を選ぶことが重要です。

4. ベトナム不動産投資におけるリスクと対策

左側に赤い屋根の一軒家があり、右側には赤い矢印が下がっていく様子とお金があるイラスト

ベトナム不動産投資は高いリターンが期待できる一方で、新興国特有のリスクも存在します。これらのリスクを理解し、適切な対策を講じることが、成功への鍵となります。

4.1 為替変動リスクとそのヘッジ方法

ベトナムドン(VND)は、日本円(JPY)に対して変動する可能性があります。投資元本や収益がベトナムドン建てである場合、円高ドル安(ベトナムドンはドルペッグ制に近い)が進むと、日本円に換算した際の価値が目減りするリスクがあります。特に、投資期間が長期にわたる場合、為替変動の影響は大きくなる傾向があります。

この為替変動リスクを軽減するためのヘッジ方法としては、以下のようなアプローチが考えられます。

  • 分散投資:ベトナム不動産だけでなく、他の国の不動産や異なる資産クラスにも投資を分散させることで、特定の通貨への依存度を下げます。
  • 長期的な視点での投資:短期的な為替変動に一喜一憂せず、長期的な経済成長による不動産価値の上昇に期待します。
  • 外貨預金口座の活用:ベトナムドン建ての収益を、必要に応じて米ドルなどの安定した通貨の外貨預金口座で保有することも一考です。
  • 為替ヘッジ商品の検討:金融機関が提供する為替ヘッジ商品を利用することも可能ですが、コストがかかる点には注意が必要です。

4.2 法制度や政策変更のリスク

ベトナムの不動産関連法規は、外国人投資家にとって比較的新しく、今後も変更される可能性があります。特に、外国人の不動産所有権や土地使用権に関する規制、税制などが変更された場合、投資計画に大きな影響を与える可能性があります。

具体的には、以下のようなリスクが挙げられます。

  • 所有権・使用権に関する規制変更:外国人の所有できる物件の種類、期間、数などに制限が設けられる、または厳しくなる可能性。
  • 税制変更:不動産取得税、固定資産税、譲渡所得税、賃貸収入に対する税率などが変更される可能性。
  • 外国送金規制:投資資金の送金や、売却益・賃料収入の本国への送金に関する規制が強化される可能性。

これらのリスクへの対策としては、最新の法制度に関する情報収集を怠らないことが最も重要です。信頼できる現地の弁護士や不動産コンサルタントと連携し、常に最新の情報を把握し、必要に応じて専門家のアドバイスを受けるようにしましょう。ベトナム政府の公式発表や、信頼できるニュースメディアの情報を定期的に確認することも有効です。

4.3 流動性リスクと出口戦略の重要性

ベトナム不動産市場は成長期にありますが、先進国市場と比較すると、物件の流動性(売却のしやすさ)が低い場合があります。特に、中古物件の市場はまだ発展途上であり、売却に時間がかかったり、希望する価格で売却できなかったりするリスクがあります。

この流動性リスクを軽減し、スムーズな投資回収を行うためには、投資を始める段階で明確な出口戦略を立てておくことが不可欠です。

項目考慮すべき点
売却時期経済成長の見込み、インフラ整備の進捗、金利動向などを考慮し、最適な売却タイミングを見極めます。
ターゲット層売却対象となる購入者層(外国人、現地富裕層、投資家など)を想定し、彼らにアピールできる物件を選定します。
売却価格設定市場価格の動向を常に把握し、適切な価格設定を行います。焦って安値で売却することのないよう、余裕を持った計画が重要です。
売却チャネル信頼できる現地の不動産仲介業者との連携、オンラインプラットフォームの活用など、多様な売却チャネルを検討します。

長期的な視点で投資を検討し、数年単位での売却が困難になる可能性も視野に入れておくことが重要です。

4.4 不動産管理運用に関する注意点

海外不動産投資では、物件の購入だけでなく、その後の管理運用が非常に重要になります。ベトナムでの不動産管理運用には、以下のような特有の注意点があります。

  • 信頼できる管理会社の選定:入居者募集、賃料回収、物件の維持管理、トラブル対応などを任せる現地の管理会社は、その実績と信頼性を徹底的に確認する必要があります。契約内容を明確にし、定期的な報告を求めるようにしましょう。
  • 賃料回収と送金:賃料の未払いや遅延のリスク、そして日本への送金プロセスや手数料について事前に確認しておく必要があります。
  • 物件の維持管理:老朽化や災害による損傷など、物件のメンテナンスや修繕に関する費用や手続きを理解しておく必要があります。遠隔地からの管理となるため、現地の管理会社との密な連携が不可欠です。
  • 税務申告と納税:賃貸収入に対する税金や、将来的な売却益に対する税金など、ベトナムの税法に基づいた適切な申告と納税が必要です。専門の会計士や税理士に相談し、適切な税務処理を行うようにしましょう。
  • 言語の壁と文化の違い:コミュニケーションの課題や商習慣の違いから、予期せぬトラブルが発生する可能性も考慮し、現地の専門家や通訳を介して円滑なコミュニケーションを図ることが重要です。

これらの管理運用に関する課題をクリアするためには、事前の情報収集と計画、そして信頼できる現地パートナーの存在が不可欠です。

5. ベトナム不動産投資の具体的な購入プロセスと税金

奥に黄色の一軒家が建っていて、手前ではお札と女性二人が書類を持ちながら話しているイラスト

5.1 外国人がベトナム不動産を購入する際のステップ

ベトナムで外国人が不動産を購入するプロセスは、日本のそれとは異なる点が多いため、事前に全体像を把握し、信頼できる専門家のアドバイスを得ながら慎重に進めることが極めて重要です。2015年の住宅法改正により、外国人の不動産所有が大幅に緩和されましたが、依然としていくつかの制約や手続き上の注意点が存在します。

一般的な購入プロセスは以下の通りです。

  1. 物件の選定と調査: 投資目的や予算に合わせ、適切な物件(コンドミニアム、アパートメントなど)を選定します。立地、開発状況、デベロッパーの信頼性などを徹底的に調査し、必要に応じて現地視察を行います。
  2. 購入資格の確認: 外国人がベトナムで不動産を所有するには、有効なビザや居住許可証など、特定の要件を満たす必要があります。一般的に、観光ビザでは購入できません。投資ビザや労働ビザなどが必要です。
  3. デポジット(手付金)の支払いと仮契約: 気に入った物件が見つかれば、まずデポジットを支払い、物件を確保します。同時に、売買の主要条件を定めた仮契約書(Deposit AgreementやReservation Agreementなど)を締結します。
  4. 売買契約(SPA: Sale and Purchase Agreement)の締結: デベロッパーまたは売主との間で正式な売買契約を締結します。契約書の内容は複雑かつベトナム語で作成されるため、必ずベトナムの不動産法に詳しい弁護士によるリーガルチェックを受けるべきです。支払いスケジュール、引き渡し条件、ペナルティ条項などを詳細に確認します。
  5. 支払いプロセスの実行: 売買契約に基づき、分割払いで物件代金を支払います。通常、契約時、建設の進捗段階ごと、引き渡し時などに支払いが設定されます。支払いはベトナムドン(VND)で行われるのが一般的ですが、外貨での支払いが認められるケースもあります。資金の送金経路や為替レートの変動にも注意が必要です。
  6. 物件の引き渡しと最終支払い: 物件が完成し、引き渡し可能となると、最終支払いを済ませ、物件の鍵を受け取ります。この際に、物件の状態を詳細に確認し、不具合がないかチェックすることが重要です。
  7. 所有権証明書(ピンクブック)の取得手続き: 物件の引き渡し後、地方人民委員会が発行する所有権証明書(通称「ピンクブック」)の取得手続きを行います。このピンクブックが、法的にその物件の所有者であることを証明する最も重要な書類となります。手続きには数ヶ月かかることがあります。

これらのプロセス全体を通じて、信頼できる不動産仲介業者、弁護士、会計士などの専門家チームを編成し、サポートを受けることが、トラブルなく投資を進める上での鍵となります。

5.2 ベトナム不動産投資にかかる税金の種類と計算方法

ベトナム不動産投資においては、購入時、保有時、売却時にそれぞれ異なる税金が発生します。これらの税金を理解し、適切に管理することは、投資の収益性を評価する上で不可欠です。

5.2.1 購入時にかかる税金

新築物件を購入する場合、デベロッパーを通じて以下の税金が価格に含まれて請求されることが一般的です。

  • 付加価値税(VAT): 新築物件の購入には、通常、物件価格に対して10%のVATが課されます。これは、デベロッパーが政府に納める税金であり、購入価格に含まれていることがほとんどです。
  • 登録料(Registration Fee): 所有権証明書(ピンクブック)の登録にかかる費用です。物件価格の0.5%程度が一般的ですが、上限が設定されている場合もあります。

中古物件の場合、売主が個人であれば個人所得税(キャピタルゲイン税に相当)を、法人であれば法人所得税を支払います。

5.2.2 保有時(賃貸運用時)にかかる税金

ベトナムには、日本のような固定資産税は現在のところ存在しません。しかし、賃貸運用を行う場合は、賃貸収入に対して以下の税金が課されます。

  • 個人所得税(PIT): 個人が賃貸収入を得る場合、収入に対して課税されます。家賃収入が年間1億ベトナムドン(VND)を超える場合、所得税5%と付加価値税5%の合計10%が課されます。年間1億VND以下の場合は免税となります。
  • 法人所得税(CIT): 法人が賃貸収入を得る場合、法人所得税が課されます。税率は通常20%ですが、業種や事業規模によって異なる場合があります。

税務申告は、通常、四半期ごとまたは年次で行う必要があります。

5.2.3 売却時にかかる税金

不動産を売却して利益(キャピタルゲイン)が発生した場合、以下の税金が課されます。

  • 個人所得税(PIT): 個人が不動産を売却して利益を得た場合、売却価格の2%が課税されます。これは、利益の有無にかかわらず、売却価格全体に対して課されるため注意が必要です。
  • 法人所得税(CIT): 法人が不動産を売却して利益を得た場合、利益に対して法人所得税が課されます。税率は通常20%です。

これらの税金は、ベトナムの税法に基づき計算され、申告・納税が必要です。税法は改正される可能性があるため、常に最新の情報を確認し、専門家のアドバイスを求めることが重要です。

詳細な税務情報については、ベトナムの税務当局や信頼できる会計事務所のウェブサイトを参照してください。例えば、ベトナム税務総局 (General Department of Taxation)などが参考になります。

5.3 現地での不動産管理と賃貸運用

ベトナム不動産投資の成功には、購入後の適切な管理と賃貸運用が不可欠です。特に海外からの投資家にとって、信頼できる現地パートナーの存在が極めて重要となります。

5.3.1 不動産管理会社の選定と役割

ほとんどの外国人投資家は、現地の不動産管理会社に運用を委託します。管理会社は以下のような多岐にわたるサービスを提供し、投資家の負担を軽減します。

  • 入居者募集と審査: 物件の広告掲載、内覧の手配、入居希望者の信用調査、賃貸条件の交渉を行います。
  • 賃貸契約の締結と更新: ベトナムの法律に基づいた賃貸契約書の作成、契約手続き、更新交渉を行います。
  • 家賃の徴収と送金: 入居者からの家賃を徴収し、手数料を差し引いた上で、指定された口座(海外送金含む)へ送金します。
  • 物件のメンテナンスと修繕: 定期的な点検、清掃手配、設備の故障対応、緊急時の修繕の手配などを行います。
  • 入居者からの問い合わせ対応: 入居者からのクレームや問い合わせに迅速に対応し、トラブルを解決します。
  • 税務申告のサポート: 賃貸収入にかかる税金の計算、申告手続きのサポートを行います。

管理会社を選ぶ際は、実績、評判、提供されるサービス内容、手数料体系、日本語対応の有無などを比較検討し、複数の候補から慎重に選ぶことが重要です。契約前にサービス範囲と費用を明確に確認しましょう。

5.3.2 賃貸運用における注意点

ベトナムでの賃貸運用には、以下のような注意点があります。

  • 賃料相場の変動: 市場の需給バランスや経済状況によって賃料相場は変動します。常に市場動向を把握し、適切な賃料設定を心がける必要があります。
  • 空室リスク: 競合物件の増加や景気変動により、空室期間が長引くリスクがあります。適切な管理会社を選ぶことで、このリスクを低減できます。
  • 契約期間と解約条項: 賃貸契約の期間や途中解約に関する条項を明確にし、双方にとって公平な内容とすることが重要です。特に、外国人入居者の場合は、本国への帰国などによる早期解約のリスクも考慮に入れる必要があります。
  • 送金規制と為替リスク: 家賃収入をベトナム国外へ送金する際には、ベトナムの外貨管理規制に従う必要があります。また、ベトナムドンと自国通貨の為替変動リスクも考慮に入れ、ヘッジ方法を検討することが望ましいです。
  • 文化・習慣の違い: 入居者とのコミュニケーションやトラブル対応において、ベトナムの文化や習慣を理解することが円滑な運用につながります。

適切な管理とパートナーシップにより、ベトナム不動産投資からの安定した賃貸収入を目指すことが可能です。

6. ベトナム不動産投資の将来展望と今後の市場動向

青い背景に、赤い屋根の一軒家とお金、虫眼鏡、棒グラフが真ん中にまとまっているイラスト

6.1 2024年以降のベトナム不動産市場予測

2024年以降のベトナム不動産市場は、引き続き堅調な経済成長と政府の政策が主要な牽引役となり、安定した成長が見込まれています。ベトナム政府は不動産市場の健全化と透明性向上に注力しており、関連法規の改正が市場の安定化に寄与すると期待されています。

特に、ベトナム:最近可決された住宅法及び不動産事業法の注目すべきポイント(2024年1月17日号)|NISHIMURA&ASAHIは、外国人の不動産所有権や取引に関する規制を明確化し、市場への信頼を高める効果が期待されます。これにより、国内外からの投資がさらに促進されるでしょう。

また、中間層の拡大と都市化の進展は、引き続き住宅需要を押し上げる要因となります。特に、若年層の人口が多いため、初めて住宅を購入する層や賃貸需要が継続的に発生し、不動産市場を下支えするでしょう。外国人直接投資(FDI)の継続的な流入は、工業団地やオフィススペースの需要を喚起し、商業用不動産市場にも好影響を与えます。

具体的な市場予測を以下の表にまとめました。

予測要因2024年以降の市場への影響
堅調な経済成長国民の購買力向上、不動産需要の持続的な増加
政府の法規制強化市場の健全化、投機的取引の抑制、長期的な安定成長
外国人直接投資(FDI)の継続流入工業団地・オフィス需要の増加、雇用創出による住宅需要
インフラ整備の加速交通利便性向上、周辺地域の不動産価値向上
中間層の拡大と都市化住宅購入・賃貸需要の増加、多様な不動産ニーズの創出

6.2 注目すべき開発プロジェクトとインフラ整備

ベトナム政府は、経済成長をさらに加速させるため、大規模なインフラ整備プロジェクトに積極的に投資しています。これらのプロジェクトは、不動産市場に直接的な影響を与え、特定のエリアの価値を大きく向上させる可能性を秘めています。

6.2.1 交通インフラの拡充

  • ホーチミン市の都市鉄道(メトロ): 特に1号線(ベンタイン~スオイティエン間)の開通は、沿線地域の利便性を劇的に向上させ、住宅や商業施設の価値を高めることが期待されます。将来的には複数路線の整備が計画されており、都市全体の交通網が強化されます。
  • ロンタイン国際空港: ホーチミン市から東に位置するドンナイ省で建設が進むこの大規模空港は、ベトナム南部の国際的な玄関口となる予定です。完成すれば、周辺地域への経済波及効果は計り知れず、工業団地、物流施設、住宅、商業施設の開発が加速するでしょう。
  • 南北高速鉄道: ベトナムの主要都市を結ぶ高速鉄道計画は、長期的な視点で見ると、沿線都市の経済発展と不動産市場に大きな影響を与える可能性があります。これにより、地方都市への投資機会も生まれるかもしれません。
  • 高速道路網の整備: 主要都市間を結ぶ高速道路の建設・拡張は、物流効率を高め、工業団地や郊外の住宅地の開発を促進します。

6.2.2 都市開発と経済特区

  • スマートシティ開発: ホーチミン市のトゥードゥック市(旧2区、9区、トゥードゥック区の統合)やビンズオン省など、複数の地域でスマートシティ構想が進められています。これらの地域では、最新のインフラと技術を導入した住宅、オフィス、商業施設が開発され、高付加価値の不動産需要が生まれるでしょう。
  • 新たな工業団地の造成: グローバルサプライチェーンの再編に伴い、ベトナムは多くの外資系製造業の誘致に成功しています。これに対応するため、ハノイ周辺やホーチミン市近郊、中部のダナンなど、各地で新たな工業団地の造成が進んでおり、工業用不動産への投資機会が拡大しています。

6.3 長期的な視点でのベトナム不動産投資の可能性

ベトナム不動産投資は、短期的な市場変動だけでなく、長期的な視点で見ても非常に大きな可能性を秘めています。その根拠となるのは、ベトナムが持つ以下の強みです。

  • 人口ボーナス期の継続: ベトナムは若年層の人口が多く、今後も長期間にわたって人口ボーナス期が続くと予測されています。これは、豊富な労働力供給と、内需拡大による経済成長の持続を意味し、不動産市場の安定した需要を保証します。
  • グローバルサプライチェーンにおける重要性の高まり: 米中貿易摩擦や地政学リスクの分散化により、多くの多国籍企業が生産拠点をベトナムに移転しています。この動きは、工業用不動産だけでなく、移住する従業員向けの住宅やオフィス、商業施設への需要も生み出します。
  • ASEAN経済共同体(AEC)の中核としての役割: ベトナムはASEAN地域における経済統合の重要な一員であり、地域内の貿易や投資の拡大から恩恵を受けています。これにより、地域経済の成長とともに不動産市場も発展するでしょう。
  • 政府の長期的な発展戦略: ベトナム政府は、2045年までに高所得国入りを目指すなど、野心的な長期目標を掲げています。これには、経済の構造改革、デジタル化の推進、グリーン経済への移行などが含まれており、これらの政策が不動産市場の多様化と高度化を促進します。
  • 観光業の回復と成長: コロナ禍からの回復後、ベトナムの観光業は力強い成長を見せています。これにより、リゾート地の不動産やホテル、サービスアパートメントへの投資機会が再び注目されるでしょう。特に、ダナン、ニャチャン、フーコック島などの主要観光地では、高級リゾート開発やコンドテル(コンドミニアムとホテルの融合)の需要が高まる可能性があります。

これらの要因を総合的に考慮すると、ベトナム不動産市場は、短期的な変動を乗り越え、長期的に見れば着実な資産価値の上昇と安定した賃貸収入をもたらす可能性を秘めていると言えるでしょう。

7. まとめ

夕焼け空、ビルやオフィスが複数建っていて、室内の電気が灯っている部屋がまばらに見られるイラスト

本記事では、ベトナム不動産投資の魅力から物件価格推移、市場動向、さらにはリスクと対策、購入プロセスまでを網羅的に解説しました。

ベトナムは経済成長と人口増加、都市化が急速に進展しており、これらが不動産市場の力強い成長を牽引しています。
特にホーチミンやハノイといった主要都市では、コンドミニアムを中心に堅調な価格推移が見られ、将来的な発展の可能性を秘めています。

もちろん、為替変動や法制度、流動性といったリスクは存在しますが、これらを適切に理解し、専門家のアドバイスを得ながら対策を講じることで、長期的な視点での魅力的な投資機会となり得ます。