後悔しない不動産投資!利回りで見る都心と地方の『違い』と賢い投資判断基準

不動産投資

不動産投資で「都心と地方、どちらを選ぶべきか?」利回りの違いに頭を悩ませていませんか?

本記事では、都心と地方の利回り格差の現状、物件価格と賃料バランス、人口動態による賃貸需要の違いを徹底解説します。

都心の低利回り高資産価値戦略、地方の高利回り追求の可能性、それぞれの空室リスクや出口戦略を深掘り。
表面的な利回りだけでなく、自身のライフプランに合わせた賢い投資判断基準、融資や税金も考慮した総合的な収益シミュレーションの重要性を明らかにします。

初心者でも後悔しない不動産投資計画を立てるためのヒントが得られます。

コジタク

業界歴18年。累計2000組以上の売買取引を担当。自身も100件以上の不動産を購入・売却の経験。自身で金融機関17行を開拓した経験から、金融機関の開拓の仕方・条件交渉のポイント・融資額を最大限に引き出すテクニックを軸に『収益不動産Labo』をスタートし多くの投資家をサポート。テクノロジーを使った収益不動産の分析が強み。”失敗しない不動産投資”を再現性高く結果を出している。

1. 不動産投資 利回り 都心と地方の「違い」を徹底解説

高層ビルが聳え立つ都会の景色と緑が溢れる田舎の景色を比較しているイラスト

不動産投資を成功させる上で、「利回り」は最も重要な指標の一つです。しかし、この利回りが都心と地方で大きく異なることを理解せずに投資を始めると、思わぬ落とし穴にはまる可能性があります。本章では、都心と地方の不動産投資における利回りの具体的な「違い」に焦点を当て、その背景にある要因を深く掘り下げて解説します。

1.1 利回り格差の現状と都心・地方の定義

不動産投資における利回りは、一般的に都心部では低く、地方部では高い傾向にあります。この「利回り格差」は、物件価格と賃料、そして将来的な資産価値の期待値が地域によって異なることに起因します。

まず、ここでいう「都心」と「地方」の定義を明確にしておきましょう。一般的に、「都心」とは東京23区、大阪市、名古屋市といった三大都市圏の中心部や、札幌市、仙台市、福岡市などの政令指定都市の中心市街地を指します。これらのエリアは、人口が集中し、交通インフラが整備され、商業施設やオフィスビルが集積しているのが特徴です。

一方、「地方」とは、三大都市圏や主要な政令指定都市の中心部以外のエリア全般を指します。さらに細分化すると、地方中核都市、郊外、そして人口減少が著しい過疎地域などが含まれます。地方と一口に言ってもその特性は多様であり、一概に語ることはできませんが、都心と比較して人口密度が低く、経済活動の規模が小さい傾向にあります。

この定義を踏まえると、都心と地方の利回りには以下のような傾向が見られます。

項目都心エリアの傾向地方エリアの傾向
表面利回り3%~6%程度7%~12%以上
実質利回り2%~4%程度5%~9%以上
物件価格高額比較的安価
賃料水準高額比較的安価
資産価値の安定性高い変動が大きい、下落リスクも

上記はあくまで一般的な傾向であり、個別の物件や立地条件によって大きく変動することを理解しておく必要があります。しかし、利回り格差の存在は、投資戦略を立てる上で無視できない重要な要素であることは間違いありません。

1.2 物件価格と賃料のバランスが利回りに与える影響

不動産投資における利回りは、基本的に「年間家賃収入 ÷ 物件購入価格 × 100」という計算式で算出されます(表面利回りの場合)。この式からわかるように、利回りは物件の購入価格とそこから得られる賃料収入のバランスによって決まります。

都心部では、土地の希少性や需要の高さから、物件の購入価格が非常に高額になる傾向があります。たとえ賃料水準も高いとしても、物件価格の高騰が相対的に利回りを押し下げる要因となります。例えば、年間120万円の家賃収入が見込める物件でも、購入価格が3,000万円であれば表面利回りは4%ですが、5,000万円であれば2.4%にまで低下します。都心投資では、この「高額な物件価格」が低利回りの主な原因です。

一方、地方部では、都心と比較して物件の購入価格が安価な傾向にあります。同じ年間120万円の家賃収入が見込める物件であれば、購入価格が1,500万円であれば表面利回りは8%となります。物件価格が安ければ、相対的に高い利回りを期待できるのが地方投資の魅力の一つです。

しかし、地方では賃料水準自体が都心よりも低い場合が多く、また空室リスクも考慮しなければなりません。物件価格が安くても、賃料が低すぎたり、空室が続いたりすれば、期待した利回りを確保することは困難になります。都心と地方、どちらにおいても、利回りを評価する際には、物件価格と賃料の絶対額だけでなく、そのバランスを総合的に見極めることが肝要です。

1.3 賃貸需要を左右する人口動態と社会構造

不動産投資の利回りを左右するもう一つの大きな要因は、その地域における「賃貸需要」です。そして、この賃貸需要は、その地域の人口動態と社会構造に深く根差しています。

都心部では、人口の集中が継続しており、特に若年層や単身世帯、共働き世帯の流入が顕著です。大学や企業の集積、多様な働き方の選択肢、利便性の高い生活環境が、多くの人々を惹きつけています。このような人口流入は、安定した賃貸需要を生み出し、空室リスクを低減させ、結果として安定した賃料収入、ひいては安定した利回りの維持に貢献します。

また、都心では「職住近接」のニーズが高く、交通の便が良い立地であれば、多少家賃が高くても借り手がつきやすい傾向があります。持ち家志向が強い地方と異なり、都心ではライフスタイルの多様化や住宅価格の高騰から、賃貸住宅を選ぶ層も厚く、これが賃貸需要を下支えしています。

対照的に、地方部では、多くの地域で人口減少と少子高齢化が進行しています。特に若年層の都心への流出は深刻で、これが賃貸需要の縮小に直結します。人口が減少すれば、当然ながら住宅を必要とする人の数も減り、空室が増加しやすくなります。空室が増えれば、賃料を下げざるを得なくなり、結果的に利回りが低下するリスクが高まります。

ただし、地方でもすべての地域で賃貸需要が低いわけではありません。特定の産業が集積している地域や、大学がある学生街、観光地として栄えているエリアなど、独自の要因で賃貸需要が堅調な「例外」も存在します。こうした地域では、地方でありながら比較的安定した利回りを期待できる可能性があります。

したがって、不動産投資を検討する際には、単に現在の利回りだけでなく、その地域が将来にわたってどれだけの賃貸需要を維持できるかを、人口動態や社会構造の観点から慎重に分析することが不可欠です。

2. 都心不動産投資の魅力と注意点

様々な形をした高層ビルやタワーがライトを灯し、夕焼けに染まっていくイラスト

不動産投資において、都心エリアは地方とは異なる独自の魅力と注意点を持っています。特に、表面的な利回りだけにとらわれず、長期的な視点での資産形成を考える上で、都心物件の特性を理解することが重要です。

2.1 低利回りでも高資産価値を狙う都心戦略

都心部での不動産投資は、地方物件と比較して一般的に利回りが低い傾向にあります。これは、物件価格が高いことに起因しますが、それと引き換えに得られるメリットも多岐にわたります。

最大の魅力は、その高い資産価値の安定性と上昇期待です。都心は人口流入が続き、経済活動の中心であるため、賃貸需要が非常に旺盛です。これにより、物件価格が下落しにくく、むしろ将来的な値上がり益(キャピタルゲイン)を期待できる可能性があります。特に、東京23区や大阪市、名古屋市などの主要都市圏の中心部は、国内外からの投資マネーも集まりやすく、その傾向は顕著です。

また、都心物件は流動性が高いという特徴もあります。万が一、売却が必要になった場合でも、買い手が見つかりやすく、比較的スムーズに現金化できる可能性が高いです。これは、地方物件に比べて大きな安心材料となります。さらに、インフレ局面においては、不動産がインフレヘッジとしての役割を果たすことも期待できます。物価上昇に伴い、不動産価格や賃料も上昇する傾向があるため、資産価値の目減りを防ぐ効果も期待できるでしょう。

しかし、都心投資には注意点も存在します。まず、初期投資額が非常に高額になる点です。物件価格が高いため、多額の自己資金が必要となるか、あるいは融資額が大きくなり、それだけリスクも増大します。また、優良な都心物件は投資家からの人気が高く、競争が激しいため、希望通りの物件を見つけるのが難しい場合もあります。

都心投資の魅力と注意点をまとめると以下のようになります。

項目都心不動産投資の魅力都心不動産投資の注意点
利回り・収益性賃料収入の安定性表面利回りが低い傾向
資産価値高い資産価値の安定性、将来的な値上がり益(キャピタルゲイン)期待初期投資額が非常に高額
需要・流動性賃貸需要が旺盛、高い流動性(売却しやすさ)優良物件の競争率が高い
リスクヘッジインフレヘッジ効果大規模災害リスク(特定の地域)

2.2 都心投資における空室リスクと管理体制

都心は賃貸需要が高いとされていますが、それでも空室リスクがゼロになるわけではありません。特に、供給過多のエリアや、築年数が古く設備が陳腐化している物件、あるいは周辺環境の変化によっては、入居者が見つかりにくくなることもあります。都心部では単身者向けのワンルームマンションが多いですが、ターゲット層(単身者、DINKS、ファミリーなど)を明確にし、その層に合わせた立地、間取り、設備を持つ物件を選定することが極めて重要です。

例えば、駅からのアクセス、周辺の商業施設や生活利便施設の充実度、治安の良さなどは、都心物件の入居付けに大きく影響します。また、テレワークの普及により、都心に住むメリットを再考する動きもあるため、物件の競争力を維持するためのリノベーションや設備更新も視野に入れる必要があります。

都心物件、特に区分マンションの場合、管理体制の良し悪しが投資の成否を分ける重要な要素となります。区分マンションでは、管理組合が建物の維持管理を行います。適切な管理が行われているか、長期修繕計画が策定され、修繕積立金が十分に積み立てられているかを確認することが不可欠です。

管理費や修繕積立金が適正な水準であるか、管理会社がきちんと機能しているか、定期的な総会が開催され、透明性のある運営がされているかなどを購入前に調査しましょう。これらの情報が不十分な場合や、管理体制に問題がある物件は、将来的に予期せぬ出費が発生したり、物件価値が低下したりするリスクがあります。信頼できる賃貸管理会社に委託することで、入居者募集、賃料回収、クレーム対応などの煩雑な業務を任せ、安定した賃貸経営を目指すのが一般的です。

3. 地方不動産投資の魅力と注意点

夏を感じる青空と道路の両サイドに日本風の一軒家が立ち並ぶイラスト

地方不動産投資は、都心とは異なる独自の魅力とリスクを併せ持ちます。特に高利回りを追求できる可能性が高い一方で、空室リスクや出口戦略の難しさといった課題に直面しやすいのが特徴です。

3.1 高利回りを追求する地方戦略の可能性

地方における不動産投資の最大の魅力は、その高利回りです。都心部に比べて物件価格が安価なため、比較的低い賃料設定でも表面利回りが高くなる傾向にあります。特に、地方都市の中心部から少し離れたエリアや、特定の需要が見込める地域(大学や工場周辺、観光地など)では、掘り出し物の物件が見つかる可能性も少なくありません。

例えば、築年数が経過したアパートや一棟マンションを安価に購入し、リノベーションによって付加価値を高めることで、賃料収入を最大化する戦略も有効です。都心では競争が激しく、高額なリノベーション費用がかかることもありますが、地方では比較的低コストで魅力的な物件に再生できるケースがあります。

ただし、高利回りという数字だけに惑わされず、その利回りが持続可能であるか、賃貸需要に裏付けられているかを慎重に見極める必要があります。表面的な利回りが高くても、空室が続けば実質利回りは大きく低下します。地方の高利回り物件は、以下のような特性を持つことが多いです。

特性詳細
物件価格都心に比べ圧倒的に安価。戸建てや一棟アパートでも購入しやすい価格帯。
表面利回り10%を超える高利回り物件も珍しくない。
賃貸需要人口減少地域では需要が限定的。特定の施設(大学、病院、工場)周辺に集中する傾向。
競争環境都心ほど投資家の競争が激しくないため、良い物件を見つけやすい場合がある。
管理コスト物件によっては、遠隔地のため管理会社への依頼が必須となり、コストが発生。

地方の高利回り戦略を成功させるためには、地域の特性を深く理解し、将来的な人口動態や産業構造の変化を予測することが不可欠です。また、賃貸需要が堅調なエリアを特定し、物件の魅力を高めるための適切な投資を行うことが重要となります。

地方の物件について興味がある方はこちらの記事も参考になります。

3.2 地方投資で直面する空室問題と出口戦略

地方不動産投資における最大の懸念事項の一つが空室問題です。地方は人口減少が顕著な地域が多く、賃貸需要そのものが縮小傾向にあるため、一度空室が発生すると長期化するリスクが高まります。特に、駅から遠い、築年数が古い、設備が陳腐化しているといった物件は、入居者を見つけるのが困難になりがちです。

空室が長期化すると、家賃収入が得られないだけでなく、固定資産税や管理費などのランニングコストだけが発生し、収益を圧迫します。そのため、地方投資においては、空室対策をいかに徹底するかが成功の鍵を握ります。具体的な対策としては、以下のようなものが挙げられます。

  • ターゲット層の明確化: 学生、単身赴任者、ファミリー層など、地域の特性に合わせた入居者ターゲットを設定し、物件を最適化する。
  • リノベーション・リフォーム: 水回り設備の更新、内装の刷新、間取りの変更など、現代のニーズに合わせた改修を行う。
  • 賃料設定の見直し: 周辺相場や物件の魅力度を考慮し、競争力のある賃料を設定する。
  • 地域密着型の管理会社との連携: 地域の賃貸市場に精通した管理会社を選び、入居者募集や物件管理を任せることで、空室リスクを低減する。

また、地方物件は都心に比べて流動性が低いため、売却が難しいという「出口戦略」の問題も抱えています。購入時には高利回りだったとしても、いざ売却しようとした際に買い手が見つからなかったり、購入時よりも大幅に価格が下落したりするリスクがあります。そのため、地方投資では、売却益(キャピタルゲイン)を期待するよりも、賃料収入(インカムゲイン)で投資額を回収することを主眼に置いた長期的な視点での計画が不可欠です。

出口戦略を検討する際には、以下の点を考慮することが重要です。

  • 売却先の候補: 地域住民、他の地方投資家、法人など、どのような層が買い手になり得るかを事前に想定する。
  • 長期保有の覚悟: 売却が困難な場合でも、賃料収入で収益を上げ続けられるような物件を選ぶ。
  • 多角的な視点: 売却だけでなく、賃貸経営を継続することや、最終的に更地にして土地を売却する可能性なども視野に入れる。

地方不動産投資は、高利回りという魅力の裏側に、空室リスクと出口戦略の難しさという大きな課題が潜んでいます。これらのリスクを十分に理解し、対策を講じた上で、自身の投資目標と合致するかどうかを慎重に判断することが成功への道となります。

4. 後悔しない不動産投資を実現する判断基準

左手でお金を持ちながら、右手で青い電卓に数字を打ち込んでいるイラスト

不動産投資で成功を収め、後悔しないためには、自身の状況と市場の特性を深く理解し、多角的な視点から賢明な判断を下すことが不可欠です。都心と地方の利回りの違いだけでなく、長期的な視点での収益性、リスク、そして自身のライフプランとの整合性を考慮した判断基準を確立しましょう。

4.1 自身のライフプランに合わせた投資スタイルの選択

不動産投資は、単なる資金運用の手段ではなく、あなたの人生設計と密接に結びつくものです。どのような目的で投資を行うのか、どの程度の期間を想定しているのかによって、選ぶべき物件やエリア、投資スタイルは大きく異なります。

まず、「なぜ不動産投資をするのか」を明確にしましょう。インカムゲイン(家賃収入)による安定したキャッシュフローを重視するのか、それともキャピタルゲイン(売却益)による資産の最大化を目指すのかによって、都心と地方のどちらが適しているかの判断が変わります。

  • インカムゲイン重視の場合: 毎月の家賃収入からローン返済や諸経費を差し引いた手残りキャッシュフローを確保したい場合は、高利回りが期待できる地方物件や、比較的安定した賃貸需要が見込める都心近郊の物件が選択肢となります。ただし、地方の高利回り物件は空室リスクや管理の手間が増える可能性も考慮が必要です。
  • キャピタルゲイン重視の場合: 将来的な物件価格の上昇による売却益を狙う場合は、資産価値が落ちにくい都心の優良物件が有利です。特に、再開発が進むエリアや人口流入が続く地域は、長期的な視点で見ても資産価値が維持されやすい傾向にあります。ただし、初期投資額が大きくなることや、短期的な価格変動リスクも理解しておく必要があります。

また、ご自身のリスク許容度も重要な判断基準です。リスクを最小限に抑えたいのであれば、空室リスクが低く、賃料相場が安定している都心の物件が適しているかもしれません。一方で、多少のリスクを許容し、高いリターンを狙いたいのであれば、地方の高利回り物件に挑戦する価値もあるでしょう。

投資に割ける時間や労力も考慮すべき点です。物件の選定から購入、入居者募集、管理、修繕対応まで、不動産投資には様々な手間がかかります。本業が忙しい方や、不動産に関する知識がまだ浅い方は、信頼できる管理会社に委託することを前提に、管理体制が確立しやすい物件や、比較的トラブルが少ない物件を選ぶことが賢明です。

4.2 物件選定における都心と地方の比較ポイント

都心と地方、どちらで不動産投資を行うかを決める上で、具体的な物件選定の比較ポイントを明確にすることが重要です。利回りだけでなく、将来的な収益性やリスクを左右する様々な要素を総合的に評価しましょう。

比較ポイント都心物件の特徴地方物件の特徴
立地・交通利便性駅徒歩圏内、複数路線利用可、商業施設やオフィス街へのアクセス良好。賃貸需要が高く、空室リスクが低い。駅からの距離が遠い、車移動が前提の立地が多い。特定の施設(工場、大学など)周辺に賃貸需要が集中する傾向。
周辺環境・インフラ生活利便施設が充実、治安が良いエリアが多い。再開発による価値向上も期待できる。公共交通機関が少ない、高齢化が進む地域も。生活インフラの充実度はエリアにより大きく異なる。
賃貸需要の質単身者・DINKS、転勤族、学生など多様な層。賃料相場が安定しており、入居者付けが比較的容易。特定の企業や大学の従業員・学生に依存する傾向。人口減少による需要減退リスクがある。
物件価格と利回り物件価格が高く、表面利回りは低い傾向。しかし、資産価値の安定性や上昇期待がある。物件価格が安く、表面利回りは高い傾向。ただし、価格下落リスクや売却時の買い手探しが課題となることも。
修繕費・管理費築年数が経過した物件でも管理が行き届いていることが多いが、修繕積立金や管理費は高めの傾向。築古物件が多く、突発的な修繕費用が発生するリスクが高い。管理会社が見つかりにくいケースもある。
出口戦略買い手が多いため、比較的売却しやすい。売却益(キャピタルゲイン)も期待できる。買い手が限定的で、売却に時間がかかる場合がある。価格交渉も厳しくなりがち。

これらのポイントを踏まえ、ご自身の投資目的とリスク許容度に最も合致する物件を見極めることが重要です。例えば、都心でも駅から少し離れたエリアや、築年数が経過した物件であれば、利回りが比較的高いものを見つけることも可能です。地方でも、特定の大学や大規模病院の近くなど、安定した賃貸需要が見込めるエリアは存在します。

4.3 融資と税金も考慮した総合的な収益シミュレーション

不動産投資の成否は、単に利回りの高さだけで決まるものではありません。融資条件と税金が最終的な手残り収益に与える影響は非常に大きいため、これらを詳細にシミュレーションすることが「後悔しない」ための絶対条件です。

4.3.1 融資計画の重要性

不動産投資において、ほとんどのケースで金融機関からの融資を利用することになります。融資条件は、毎月のキャッシュフローに直接影響を与えるため、慎重な検討が必要です。

  • 金利タイプと期間: 変動金利と固定金利のメリット・デメリットを理解し、自身の金利上昇リスク許容度に合わせて選択します。融資期間が長ければ月々の返済額は減りますが、総返済額は増えます。
  • 自己資金比率: 自己資金を多く投入すれば、借入額が減り、返済負担も軽くなりますが、手元資金が少なくなるリスクもあります。一般的に、自己資金2割〜3割程度を準備できると、融資審査も通りやすくなると言われています。
  • 金融機関の選定: メガバンク、地方銀行、信用金庫、ノンバンクなど、様々な金融機関が存在します。それぞれ審査基準や得意とする物件、融資条件が異なるため、複数の金融機関に相談し、最も有利な条件を引き出すことが重要です。個人の属性(年収、勤続年数、資産状況など)や物件の担保評価が融資審査に大きく影響します。

融資を受ける際には、金利だけでなく、融資手数料や保証料などの諸費用も考慮に入れ、総支払額で比較検討しましょう。

4.3.2 税金の影響と節税対策

不動産投資には、取得時、保有時、売却時のそれぞれで様々な税金が発生します。これらを正確に把握し、収益シミュレーションに組み込むことで、より現実的な手残り収益を予測できます。

課税タイミング主な税金概要とポイント
取得時不動産取得税不動産を取得した際に一度だけ課される税金。軽減措置がある場合も。
登録免許税不動産の登記(所有権移転登記など)にかかる税金。
印紙税売買契約書などに貼付する印紙代。
保有時固定資産税毎年1月1日時点の不動産所有者に課される地方税。
都市計画税都市計画区域内の不動産に課される地方税。
所得税・住民税不動産所得(家賃収入から経費を差し引いた利益)に対して課される。損益通算や減価償却費による節税効果が期待できる。
売却時譲渡所得税不動産を売却して利益が出た場合に課される税金。所有期間によって税率が異なる(長期譲渡所得の方が税率が低い)。

特に重要なのが、減価償却費による節税効果です。建物や設備は時間の経過とともに価値が減少するという考え方に基づき、その費用を毎年経費として計上できます。実際の支出を伴わない経費であるため、帳簿上は赤字となり、給与所得など他の所得と損益通算することで、所得税や住民税を軽減できる可能性があります。

4.3.3 総合的なキャッシュフローシミュレーション

これら融資と税金を考慮した上で、最終的に手元に残るキャッシュフローを詳細にシミュレーションすることが最も重要です。

年間収入: 家賃収入、共益費など

年間支出:

  • ローン返済額(元金+利息)
  • 管理費・修繕積立金(区分マンションの場合)
  • 固定資産税・都市計画税
  • 火災保険料
  • 管理委託手数料
  • 原状回復費用や修繕費(積立金で賄えない部分)
  • 空室期間の損失
  • その他雑費(広告費、税理士費用など)

これらの収入と支出を正確に算出し、「税引き後の年間キャッシュフロー」を導き出します。表面利回りや実質利回りだけでなく、このキャッシュフローがプラスになるかどうか、そしてそのプラス幅が許容できるリスクに見合うものかどうかを判断基準としましょう。複数のシナリオ(例:空室率が〇%になった場合、金利が〇%上昇した場合)でシミュレーションを行い、最悪のケースでも耐えうるかを確認することが、後悔しない不動産投資には不可欠です。

5. 不動産投資 初心者が知るべき都心と地方の特性

スーツを着た男性がお金とベージュの家の模型を手に乗せているイラスト

不動産投資をこれから始める初心者にとって、都心と地方の物件が持つ特性を理解することは、成功への第一歩です。これまでの章で触れた利回りや資産価値の違いに加え、具体的な物件タイプや長期的な視点での計画の重要性について、初心者が知っておくべきポイントを解説します。

5.1 区分マンションと一棟アパート 都心と地方での選択

不動産投資の物件タイプは多岐にわたりますが、初心者が最初に検討することが多いのは、「区分マンション」と「一棟アパート・マンション」でしょう。都心と地方では、それぞれの物件タイプが持つ特性や、投資戦略における位置づけが大きく異なります。

都心部では、土地の価格が高く、一棟物件の取得には多額の資金が必要となるため、比較的少額から始められる区分マンション投資が主流です。一方、地方では土地価格が都心に比べて安価であるため、一棟アパートやマンションといった物件でも高利回りを狙いやすく、選択肢に入りやすくなります。

それぞれの物件タイプと立地における特性を比較してみましょう。

特性都心(区分マンション)地方(一棟アパート・マンション)
初期投資額比較的少額から可能高額になる傾向
利回り低利回りだが、安定した賃料収入と資産価値維持・向上を期待高利回りを追求しやすい
管理の手間管理会社や管理組合に任せられる部分が多く、比較的少ない管理会社への委託は可能だが、全体的な運営責任は大きく、手間がかかる場合も
空室リスク単独の部屋の空室は全体収益への影響が限定的空室が複数発生すると、全体収益への影響が大きい
流動性需要が高く、売却しやすい傾向にある買主を見つけるのが難しい場合があり、流動性が低い傾向
修繕・改修大規模修繕は管理組合の決定に委ねられる自身の判断で修繕・改修計画を立てられる
減価償却建物部分の割合が小さく、減価償却費も限定的建物部分の割合が大きく、減価償却費を大きく計上しやすい

区分マンションは、少額から始められ、管理の手間が少ないため、不動産投資初心者にとって比較的参入しやすいと言えます。特に都心では、賃貸需要が安定しており、長期的な資産形成に適しているとされています。

一方、一棟アパート・マンションは、高利回りを狙える可能性があるものの、初期投資額が大きく、管理の手間や空室リスクも区分マンションより高まります。地方での投資を検討する際は、より綿密な市場調査と出口戦略の検討が不可欠です。

5.2 長期的な視点での不動産投資計画

不動産投資は、株式投資のような短期的な売買で利益を追求するよりも、長期的な視点に立って計画を立てることが重要です。都心と地方、どちらの物件を選ぶにしても、将来のライフプランや市場の変化を見据えた戦略が求められます。

都心物件の場合、人口減少が進む日本においても、都心部への人口集中は継続する傾向にあり、賃貸需要は比較的安定しやすいと考えられます。そのため、低利回りであっても、安定した家賃収入(インカムゲイン)と、将来的な資産価値の維持・向上(キャピタルゲイン)を期待した長期保有が有効な戦略となります。築年数が経過しても、適切なリノベーションや管理を行うことで、競争力を維持し、価値を保つことが可能です。

地方物件の場合、高利回りが魅力ですが、人口減少の影響をより強く受ける可能性があります。そのため、長期的なインカムゲインの最大化を目指しつつも、将来的な売却(出口戦略)を早い段階から具体的に検討しておくことが非常に重要です。特定のエリアに限定される大学や工場、観光施設など、安定した賃貸需要が見込める地域を選ぶことや、地域に根差した管理体制を構築することも成功の鍵となります。また、築古物件に投資する場合は、修繕費用の見積もりや、リノベーションによる付加価値向上策も計画に含めるべきです。

いずれの投資においても、以下の点を長期的な視点で考慮に入れる必要があります。

  • 経済状況の変化:景気の変動が賃貸需要や不動産価格に与える影響。
  • 金利変動リスク:ローン金利の上昇がキャッシュフローに与える影響。
  • 税制改正:不動産に関する税制(固定資産税、所得税、譲渡所得税など)の変更。
  • 自身のライフイベント:結婚、出産、転職、退職など、資金計画に影響を与える可能性のある出来事。
  • 物件の劣化と修繕計画:定期的なメンテナンスや大規模修繕に必要な費用と時期。

これらの要素を踏まえ、柔軟性を持った長期的な不動産投資計画を立てることが、後悔しない不動産投資を実現するための基礎となります。

6. まとめ

お金が舞う中、オレンジ色の折れ線グラフとカラフルな棒線グラフが描かれているイラスト

不動産投資における都心と地方では、利回りに明確な違いがあり、それぞれに魅力と注意点が存在します。

都心は低利回りでも高い資産価値や安定した賃貸需要が期待できる一方、地方は高利回りのチャンスがあるものの、空室リスクや出口戦略の検討が不可欠です。

成功の鍵は、表面的な利回りだけでなく、自身のライフプランや投資目標、リスク許容度に合わせて、物件価格、賃貸需要、空室リスク、管理体制、融資、税金、出口戦略といった多角的な視点から総合的に判断することです。
物件種別の選択も地域特性によって最適な判断が異なります。

長期的な視点に立ち、綿密な収益シミュレーションを行うことで、後悔しない賢い不動産投資を実現できるでしょう。