不動産投資で見落としがちなのが管理会社費用です。
管理委託料は家賃の3〜8%が相場ですが、実際には入居者募集時の広告費、リフォーム時の手数料、更新事務手数料など、契約書に小さく記載された隠れたコストが収益を圧迫します。
この記事では、管理会社が担当する業務内容から費用の内訳、地域別・物件タイプ別の相場まで徹底解説。
さらに複数社からの見積もり取得方法や業務範囲の見直しによるコストカット術、契約書で確認すべき重要項目もご紹介します。
ワンルームマンションと一棟アパートの具体的なシミュレーション事例で、管理費用が収益に与える影響を数字で理解できます。
適切な管理会社選びで年間数十万円のコスト削減も可能です。
1. 不動産投資における管理会社の役割とは

不動産投資において管理会社は、投資用物件の日常的な運営管理を代行する専門業者です。オーナー自身が遠方に住んでいたり、本業が忙しい場合でも、安定した賃貸経営を実現するための重要なパートナーとして機能します。管理会社を活用するかどうかは、投資収益や運営の手間に大きく影響するため、その役割を正しく理解することが不動産投資成功の第一歩となります。
1.1 管理会社が担当する業務内容
管理会社の業務は大きく分けて「入居者管理」「建物管理」「オーナー対応」の3つに分類されます。入居者管理では、家賃の集金・督促、入退去時の立ち会い、入居者からのクレーム対応、契約更新手続きなどを担当します。建物管理では、共用部の清掃、設備の定期点検、修繕業者の手配、建物の巡回といった物理的な維持管理を行います。オーナー対応では、月次報告書の作成、収支管理、確定申告に必要な資料の提供などを実施します。
| 業務分野 | 具体的な業務内容 |
|---|---|
| 入居者管理 | 家賃集金・督促、入居者募集、契約更新、クレーム対応、退去立ち会い |
| 建物管理 | 共用部清掃、設備点検、修繕手配、建物巡回、消防点検 |
| オーナー対応 | 月次報告書作成、収支管理、送金業務、税務資料提供 |
1.2 自主管理と管理委託の違い
自主管理とは、オーナー自身がすべての管理業務を行う方法で、管理委託料がかからないため収益性は高くなります。しかし、入居者からの緊急連絡への24時間対応、家賃滞納時の督促、トラブル対応など、時間と労力、そして専門知識が求められるのが実情です。一方、管理委託は専門会社にこれらの業務を任せることで、オーナーの負担を大幅に軽減できます。特に複数物件を所有する場合や本業が多忙な投資家にとっては、管理委託が現実的な選択肢となります。
1.3 管理会社を利用するメリット・デメリット
管理会社を利用する最大のメリットは、専門的なノウハウによる安定した賃貸経営の実現です。入居者トラブルへの迅速な対応、法律に準拠した契約手続き、効率的な入居者募集など、プロの経験を活用できます。また、オーナーの時間的・精神的負担が軽減され、本業や他の投資活動に集中できる点も大きな利点です。デメリットとしては、家賃の5〜10%程度の管理委託料が継続的に発生し、収益が圧縮される点が挙げられます。また、管理会社によってはサービス品質にばらつきがあり、選定を誤ると適切な管理が受けられないリスクもあります。
2. 不動産投資の管理会社費用の相場と内訳

不動産投資を成功させるためには、管理会社に支払う費用の相場と内訳を正確に把握することが不可欠です。管理委託料は毎月発生する固定費であり、収益性に直結するため、契約前にしっかりと理解しておく必要があります。
2.1 管理委託料の相場は家賃の何パーセント?
管理委託料の相場は、家賃収入の3%から5%程度が一般的です。ワンルームマンションや区分所有物件の場合は5%前後、一棟アパートや一棟マンションの場合は3%から4%程度に設定されることが多い傾向にあります。家賃が10万円の物件であれば、月額3,000円から5,000円が管理委託料として発生する計算になります。
ただし、物件の築年数や立地条件、管理業務の範囲によって料率は変動します。築古物件やトラブルが多い物件では、管理会社がリスクを考慮して高めの料率を設定するケースもあります。
2.2 管理委託契約に含まれる基本業務
管理委託料に含まれる基本業務は、管理会社によって異なりますが、一般的には以下の内容が標準的なサービスとして提供されます。
| 業務項目 | 内容 |
|---|---|
| 家賃回収業務 | 毎月の家賃徴収、オーナーへの送金、滞納時の督促 |
| 入居者対応 | 日常的な問い合わせ対応、軽微なトラブルの初期対応 |
| 定期報告 | 入金状況の報告書作成、物件状況の定期レポート |
| 共用部の清掃管理 | エントランスや廊下などの清掃手配・確認 |
| 退去立会い | 退去時の室内確認、原状回復範囲の査定 |
契約前に管理委託契約書の業務範囲を詳細に確認することが重要です。一見同じ料率でも、含まれる業務内容が異なれば実質的なコストは大きく変わります。
2.3 地域別・物件タイプ別の費用相場
管理委託料は地域や物件タイプによっても差が生じます。東京都心部では競争が激しく3%から4%程度で受託する管理会社も存在しますが、地方都市では管理会社の選択肢が限られるため5%以上となることもあります。
物件タイプ別では、区分マンションは5%前後、一棟アパート(10戸未満)は4%から5%、一棟マンション(10戸以上)は3%から4%が目安です。戸数が多いほどスケールメリットが働き、料率が下がる傾向にあります。また、学生向け物件や外国人入居者が多い物件では、対応の手間を考慮して標準より高めに設定されることがあります。
3. 見落としがちな隠れたコストを徹底解説

不動産投資における管理会社費用は、基本の管理委託料だけではありません。実際には契約書に小さく記載された追加費用や、発生時に初めて請求される隠れたコストが存在します。これらを事前に把握していないと、想定外の出費が収益を大きく圧迫する原因となります。
3.1 入居者募集時の広告費・仲介手数料
入居者が退去した際、新たな入居者を募集するために発生する費用です。管理会社によっては広告費として家賃の1ヶ月分、仲介手数料として家賃の1ヶ月分がそれぞれ請求されるケースがあります。合計すると家賃の2ヶ月分に達することもあり、空室が発生するたびにこの費用が必要になります。また、繁忙期以外の募集では広告費を上乗せしないと入居者が決まりにくいという理由で、さらに追加費用を求められる場合もあります。
3.2 リフォーム・修繕時の手数料
退去後の原状回復工事や設備修繕を管理会社に依頼する場合、工事費用そのものとは別に工事監理手数料や事務手数料として工事費の10〜20%が上乗せされることが一般的です。例えば50万円の修繕工事であれば、5万円から10万円の追加費用が発生します。自分で業者を手配すれば避けられるコストですが、契約内容によっては管理会社指定の業者利用が義務付けられている場合もあります。
修繕費についてもっと知りたい方はこちらの記事も参考になります。
3.3 更新事務手数料と契約関連費用
入居者の契約更新時には、更新事務手数料として家賃の0.5ヶ月分程度を管理会社が受け取る仕組みになっていることがあります。また、契約書作成費や保証会社への手続き代行費用なども別途請求される場合があります。2年ごとの更新のたびにこれらの費用が発生するため、長期入居者が多い物件ほど積み重なるコストとなります。
3.4 24時間サポートやトラブル対応の追加料金
夜間や休日の緊急対応、入居者トラブルの仲裁など、基本管理料に含まれない業務については別途費用が発生します。24時間コールセンター対応を付けると月額3,000円から5,000円程度の追加料金が必要になることもあります。また、騒音トラブルや近隣トラブルへの対応費用として、1件あたり1万円から3万円を請求する管理会社もあります。
| 費用項目 | 相場金額 | 発生タイミング |
|---|---|---|
| 広告費 | 家賃1ヶ月分 | 入居者募集時 |
| 仲介手数料 | 家賃1ヶ月分 | 入居者決定時 |
| 工事監理手数料 | 工事費の10〜20% | 修繕・リフォーム時 |
| 更新事務手数料 | 家賃0.5ヶ月分 | 契約更新時(2年ごと) |
| 24時間サポート | 月額3,000〜5,000円 | 毎月 |
4. 管理会社の費用を抑えるための具体策

不動産投資において管理会社への支払いは継続的なコストとなるため、適切に費用を抑えることが収益性向上の鍵となります。ここでは、管理品質を維持しながら費用を削減するための実践的な方法を具体的に解説します。
4.1 複数の管理会社から見積もりを取る方法
管理会社選びにおいては、最低でも3〜5社から見積もりを取得することが基本です。見積もり依頼時には、物件情報、現在の管理状況、希望する業務範囲を明確に伝えることで、正確な比較が可能になります。
見積もり比較の際は、管理委託料率だけでなく、追加費用の有無や契約更新料、広告費負担の条件など総合的なコストを確認しましょう。特に入居者募集時の広告費負担、リフォーム時の手数料率、契約更新時の事務手数料などは会社によって大きく異なります。
| 比較項目 | 確認すべきポイント |
|---|---|
| 基本管理料 | 家賃の何%か、最低料金設定の有無 |
| 入居者募集費用 | 広告費、仲介手数料の負担割合 |
| リフォーム手数料 | 工事費に対する手数料率 |
| 更新事務手数料 | 1件あたりの金額設定 |
4.2 業務範囲を見直してコストカット
管理委託契約には、基本業務と追加オプション業務があります。自分で対応可能な業務は外すことで管理料を削減できます。例えば、入居者対応やクレーム対応は委託しつつ、清掃や簡単な修繕は自主管理とすることで、管理料を家賃の3〜4%程度に抑えることも可能です。
また、24時間緊急対応サービスや定期巡回サービスなどのオプションは、物件の状況や入居者層によって必要性が異なります。新築物件や入居者が長期安定している場合は、こうしたオプションを見直すことでコスト削減につながります。
4.3 長期契約での費用交渉のポイント
管理会社との長期契約を前提とした交渉は、費用削減の有効な手段です。2〜3年の長期契約を提案することで、管理委託料率を0.5〜1%程度引き下げられる可能性があります。
交渉時には、複数物件をまとめて委託する、他社の見積もりを提示する、物件の稼働率や入居状況の良さをアピールするなどの材料を用意しましょう。特に一棟物件や複数戸を所有している場合は、スケールメリットを活かした交渉が効果的です。ただし、費用削減だけを追求して管理品質が低下しては本末転倒なので、サービス内容とのバランスを常に意識することが重要です。
5. 管理会社選びで失敗しないチェックポイント

管理会社の費用相場を把握した後は、実際に契約する会社選びが重要です。安さだけを重視すると、サービス品質の低下や後々のトラブルにつながる可能性があります。ここでは契約前に必ず確認すべきポイントを解説します。
5.1 管理委託契約書で確認すべき重要項目
管理委託契約書は費用とサービス内容を明確にする重要な書類です。契約前に以下の項目を必ず確認しましょう。
| 確認項目 | チェックポイント |
|---|---|
| 管理委託料の料率 | 家賃の何%か、最低料金の設定はあるか |
| 基本業務の範囲 | 家賃集金、入居者対応、清掃などどこまで含まれるか |
| 追加費用の条件 | どのような場合に別途費用が発生するか |
| 契約期間と解約条件 | 最低契約期間、解約予告期間、違約金の有無 |
| 報告義務の内容 | 収支報告の頻度や形式 |
特に「基本業務に含まれる範囲」と「追加費用が発生する条件」は曖昧になりやすいため、具体的な業務内容を箇条書きで明記してもらうことをおすすめします。
5.2 費用だけで選ぶと危険な理由
管理委託料が相場より大幅に安い会社には注意が必要です。低料金の裏には以下のようなリスクが潜んでいることがあります。
まず、基本業務の範囲が極端に狭く、ほとんどの業務が別料金になっているケースです。結果として総費用が高額になる可能性があります。また、担当者一人あたりの物件数が多すぎて対応が遅れたり、入居者トラブルへの対応が不十分になることもあります。
空室期間の長期化や入居者トラブルによる損失は、管理費用の差額を大きく上回るため、サービス品質とのバランスを重視した選択が重要です。費用は相場の範囲内で、実績とサービス内容を総合的に判断しましょう。
5.3 実績と評判の調べ方
管理会社の実績と評判を確認する方法はいくつかあります。まず会社のホームページで管理戸数や設立年数、対応エリアを確認します。管理戸数が多く、長年営業している会社は一定の信頼性があると判断できます。
次に、インターネット上の口コミサイトやSNSで実際の利用者の声を調べます。ただし極端な意見に偏らず、複数の情報源から総合的に判断することが大切です。可能であれば、既に管理を委託しているオーナーに直接話を聞くと、より実態に近い情報が得られます。
また、実際に問い合わせた際の対応スピードや説明の丁寧さも重要な判断材料です。初回対応が遅い、説明が曖昧な会社は、契約後のサービスにも不安が残る可能性があります。複数社を比較して、信頼できるパートナーを選びましょう。
6. 管理会社費用のシミュレーション事例

不動産投資において管理会社費用が実際にどの程度かかるのか、具体的なシミュレーションを通じて確認していきましょう。物件タイプや運営状況によって費用は大きく変動するため、ここでは代表的な2つのケースをご紹介します。
6.1 ワンルームマンションの年間コスト例
都心部にある築15年のワンルームマンション(家賃8万円)を例に、年間の管理会社費用を算出します。管理委託料は家賃の5%で設定した場合のシミュレーションです。
| 項目 | 費用 | 発生頻度 | 年間合計 |
|---|---|---|---|
| 管理委託料(家賃の5%) | 4,000円/月 | 毎月 | 48,000円 |
| 入居者募集広告費 | 80,000円 | 2年に1回 | 40,000円 |
| 更新事務手数料 | 20,000円 | 2年に1回 | 10,000円 |
| 小規模修繕手数料 | – | 不定期 | 15,000円 |
| 年間管理費用合計 | 113,000円 | ||
家賃収入96万円に対して、管理会社費用は約11.8%を占める計算となります。入居率が高く安定している物件であれば、管理費用の割合は比較的低く抑えられます。
6.2 一棟アパートの年間コスト例
地方都市にある1棟8戸のアパート(平均家賃5.5万円)を例に、年間の管理会社費用をシミュレーションします。管理委託料は家賃の7%で設定しています。
| 項目 | 費用 | 発生頻度 | 年間合計 |
|---|---|---|---|
| 管理委託料(家賃の7%) | 30,800円/月 | 毎月 | 369,600円 |
| 入居者募集広告費(平均2戸) | 55,000円/戸 | 年2回 | 110,000円 |
| 更新事務手数料(平均3戸) | 15,000円/戸 | – | 45,000円 |
| 退去時原状回復手数料 | 工事費の10% | 年2回 | 60,000円 |
| 24時間トラブル対応 | 5,000円/月 | 毎月 | 60,000円 |
| 年間管理費用合計 | 644,600円 | ||
満室時の家賃収入528万円に対して、管理会社費用は約12.2%を占める結果となります。一棟物件の場合は入退去の頻度が高くなるため、募集費用や原状回復関連の費用が増加する傾向にあります。
6.3 収益シミュレーションへの影響
管理会社費用は表面利回りには含まれないため、実質利回りを計算する際には必ず考慮する必要があります。例えば表面利回り8%の物件でも、管理費用やその他経費を差し引いた実質利回りは5〜6%程度になるケースが一般的です。
特に注意すべきは、管理会社費用が想定より高額になると、キャッシュフローが大幅に悪化する可能性があるという点です。物件購入前には必ず複数の管理会社から詳細な見積もりを取得し、年間コストを正確に把握したうえで収益計画を立てることが重要です。
また、管理費用の削減だけに注目するのではなく、管理品質とのバランスを考慮することが長期的な収益確保につながります。入居率の維持や迅速なトラブル対応ができる管理会社を選ぶことで、結果的に空室リスクを抑え、トータルでの収益性を高めることができます。
7. まとめ

不動産投資における管理会社費用は、管理委託料だけでなく、広告費、修繕時の手数料、更新事務手数料など、さまざまな隠れたコストが発生します。
管理委託料の相場は家賃の3~8%程度ですが、物件タイプや地域、委託する業務範囲によって大きく異なります。
費用を抑えるためには、複数の管理会社から見積もりを取り、業務範囲を明確にした上で比較検討することが重要です。
また、長期契約を前提とした費用交渉や、必要性の低いオプション業務の見直しによって、年間コストを10~20%程度削減できる可能性があります。
ただし、費用の安さだけで管理会社を選ぶと、入居者対応の質が低下したり、空室期間が長引いたりするリスクがあります。
管理会社の実績、入居率、対応力、契約内容を総合的に評価し、費用対効果の高い委託先を選ぶことが、長期的な収益確保につながります。
管理委託契約書では、委託業務の範囲、費用の内訳、解約条件、免責事項を必ず確認しましょう。特に、どの業務が基本料金に含まれ、どの業務が別途費用となるかを明確にしておくことで、予期せぬ出費を防ぐことができます。
不動産投資の収益性を最大化するためには、管理会社費用を適切にコントロールしながら、質の高い管理サービスを受けることが不可欠です。
本記事で紹介したチェックポイントとシミュレーション事例を参考に、あなたの投資物件に最適な管理会社を選択してください。




