築古区分マンション投資は、初期費用を抑えて高い利回りを期待できる一方、空室や建物の老朽化といったリスクも存在します。
この記事では、築古区分マンション投資のメリット・デメリットを徹底解説し、成功するための戦略を具体的に示します。
空室リスク対策として家賃設定や設備のメンテナンス、老朽化対策として大規模修繕計画の確認や耐震性の評価、さらに金利上昇や流動性といったリスクへの対処法も詳しく説明。
物件調査のポイント、収支計画の立て方、信頼できる不動産会社選び、適切な保険の加入など、失敗しないための実践的なノウハウを学ぶことで、築古区分マンション投資を成功に導くための道筋が見えてきます。
1. 築古区分マンション投資とは?

築古区分マンション投資とは、築年数の経過した中古区分マンションを投資対象とする不動産投資の一種です。一般的には、築20年以上経過したマンションを指すことが多いですが、明確な定義はありません。新築や築浅マンションと比較して、初期費用を抑えられることが大きなメリットです。 投資家は、購入した区分マンションを賃貸に出すことで家賃収入を得ることができ、長期的な資産形成や安定収入の確保を目指します。東京都や大阪府など、人口が多く賃貸需要の高いエリアでは、築古区分マンションであっても入居者を見つけやすい傾向があります。しかし、建物の老朽化や設備の故障といったリスクも存在するため、物件選びやリスク管理が重要となります。
築古区分マンション投資は、他の不動産投資と比較して、少額から始められるため、初心者にも比較的取り組みやすい投資手法と言われています。ただし、築年数が経過していることから、様々なリスクも存在するため、メリット・デメリットを理解した上で投資判断を行う必要があります。成功するためには、物件の状態、周辺環境、賃貸需要などを慎重に調査し、収支計画を綿密に立てることが不可欠です。また、空室リスクや修繕リスクなど、想定されるリスクへの対策も検討しておく必要があります。
| 項目 | 新築区分マンション | 築古区分マンション |
|---|---|---|
| 価格 | 高額 | 比較的安価 |
| 利回り | 比較的低い | 比較的高め |
| 修繕リスク | 低い | 高い |
| 空室リスク | 比較的低い | 物件次第 |
上記は一般的な傾向であり、個々の物件によって状況は異なります。詳しくはREINS TOWERなどで情報収集することをお勧めします。
2. 築古区分マンション投資のメリット

築古区分マンション投資には、以下のようなメリットがあります。
2.1 初期費用を抑えられる
築古区分マンションは、新築や築浅の物件と比較して価格が安いため、初期投資額を抑えることができます。頭金が少なくて済む場合もあり、投資への参入障壁が低いと言えるでしょう。また、価格が低いことから、融資の審査も通過しやすい傾向があります。ただし、築年数が経過しているため、修繕積立金や管理費が高めに設定されている場合もあるので、事前に確認が必要です。
2.2 利回りが高い傾向がある
築古区分マンションは、価格が割安なため、利回りが高くなる傾向があります。新築や築浅物件と比較して、同じ家賃収入でも物件価格が安いため、表面利回りが高くなります。ただし、空室リスクや修繕リスクなどを考慮した実質利回りを確認することが重要です。また、利回りの高さだけに注目せず、物件の状態や周辺環境なども総合的に判断する必要があります。
2.3 エリア選定の自由度が高い
築古区分マンションは、都心部など人気のエリアにも物件が存在するため、エリア選定の自由度が高いです。新築マンションは供給数が限られており、希望のエリアに物件がない場合もありますが、築古区分マンションであれば、選択肢が広がります。自分が住みたいエリアや将来性を見込んだエリアに投資できる可能性が高まります。ただし、築年数が古い物件が多いため、建物の状態や耐震性などを確認する必要があります。
| メリット | 解説 | 注意点 |
|---|---|---|
| 初期費用を抑えられる | 新築や築浅物件と比べて価格が安く、初期投資額を抑えることができる。 | 修繕積立金や管理費が高めに設定されている場合もあるため、事前に確認が必要。 |
| 利回りが高い傾向がある | 価格が割安なため、表面利回りが高くなる傾向がある。 | 空室リスクや修繕リスクなどを考慮した実質利回りを確認することが重要。 |
| エリア選定の自由度が高い | 都心部など人気のエリアにも物件が存在し、エリア選定の自由度が高い。 | 築年数が古い物件が多いため、建物の状態や耐震性などを確認する必要がある。 |
不動産投資のリスクや収益性については、不動産投資におけるリスクと「やめとけ」といわれる理由|リスクを知って不動産投資の成功率を高める|投資のトーシンも参考になります。
3. 築古区分マンション投資のリスク

築古区分マンション投資には、メリットだけでなく様々なリスクも存在します。リスクを正しく理解し、適切な対策を講じることで、投資の成功確率を高めることができます。主なリスクは以下の通りです。
3.1 空室リスク
築古区分マンションは、新築マンションと比較して空室リスクが高まる可能性があります。築年数が経過するにつれて建物の劣化が進み、入居者のニーズと合致しなくなることが原因です。空室が発生すると、家賃収入が得られなくなり、投資計画に大きな影響を与えます。
3.1.1 家賃下落リスク
築年数が経過するにつれて、家賃の下落圧力がかかる可能性があります。周辺に新築マンションが建設されたり、競合物件が増加したりすると、家賃を下げざるを得ない状況になる可能性があります。家賃が下落すると、利回りが低下し、投資効率が悪化します。
3.1.2 設備の老朽化による修繕リスク
築古区分マンションは、設備の老朽化による修繕リスクが高まります。給排水管、電気設備、エレベーターなどの設備は、経年劣化によって故障や不具合が発生する可能性があります。修繕費用が発生すると、想定外の支出となり、収益を圧迫する可能性があります。計画的に修繕積立金を積み立てておくことが重要です。
3.2 建物の老朽化リスク
築古区分マンションは、建物の老朽化リスクも考慮しなければなりません。建物の構造部分や外壁などが劣化すると、大規模な修繕が必要になる場合があります。また、耐震性が低い場合は、地震発生時に大きな被害を受ける可能性があります。
3.2.1 大規模修繕リスク
築古区分マンションは、大規模修繕が必要となる時期が近づいている可能性があります。外壁塗装、屋上防水、給排水管更新などは、多額の費用がかかるため、事前に修繕積立金の状況や今後の修繕計画を確認しておく必要があります。大規模修繕の費用負担が大きすぎる場合は、投資を見送ることも検討すべきです。
3.2.2 耐震性リスク
1981年以前に建築された建物は、現行の耐震基準を満たしていない可能性があります。耐震性が低い建物は、地震発生時に倒壊の危険性が高まります。耐震診断を実施し、必要に応じて耐震補強工事を行う必要があります。耐震性に関する情報は、重要事項説明書などで確認できます。
3.3 金利上昇リスク
不動産投資では、ローンを利用することが一般的です。ローンを利用する場合、金利上昇リスクに注意する必要があります。金利が上昇すると、毎月の返済額が増加し、収支が悪化する可能性があります。固定金利型ローンを選択することで、金利上昇リスクを回避できます。また、日本銀行の金融政策なども注視しておく必要があります。
金融政策の概要|日本銀行
3.4 流動性リスク
築古区分マンションは、新築マンションと比較して流動性が低い傾向があります。売却を希望しても、すぐに買い手が見つからない可能性があります。売却までに時間がかかることや、希望価格で売却できない可能性があることを理解しておく必要があります。流動性リスクを軽減するためには、需要の高いエリアや駅近物件を選ぶことが重要です。また、レインズの市場動向を参考にしたり、複数の不動産会社に査定を依頼するなどして、相場観を養うことも重要です。
レインズデータライブラリー
| リスク | 内容 | 対策 |
|---|---|---|
| 空室リスク | 入居者が見つからず、家賃収入が得られないリスク。 | 需要の高いエリアや駅近物件を選ぶ、競争力のある家賃設定をする。 |
| 家賃下落リスク | 周辺環境の変化などにより、家賃が下落するリスク。 | 市場調査を徹底し、適切な家賃を設定する。 |
| 設備老朽化リスク | 設備の故障や不具合による修繕費用が発生するリスク。 | 修繕積立金を計画的に積み立てる。 |
| 大規模修繕リスク | 大規模な修繕工事が必要になり、多額の費用が発生するリスク。 | 修繕積立金の状況や今後の修繕計画を確認する。 |
| 耐震性リスク | 地震発生時に建物が倒壊するリスク。 | 耐震診断を実施し、必要に応じて耐震補強工事を行う。 |
| 金利上昇リスク | ローン金利が上昇し、返済額が増加するリスク。 | 固定金利型ローンを選択する。 |
| 流動性リスク | 売却が困難で、希望価格で売却できないリスク。 | 需要の高いエリアや駅近物件を選ぶ。 |
4. 築古区分マンション投資で失敗しないための戦略

築古区分マンション投資は、メリットも多い反面、リスクも存在します。成功のためには、リスクを最小限に抑え、収益を最大化するための戦略が不可欠です。以下に、築古区分マンション投資で失敗しないための戦略を具体的に解説します。
4.1 入念な物件調査
物件調査は、築古区分マンション投資成功の鍵です。表面的な情報だけでなく、詳細な調査を行いましょう。
- 物件の状態:築年数、建物の構造、設備の状況、共用部分の状態などを確認します。雨漏りやひび割れなど、修繕が必要な箇所がないかを入念にチェックしましょう。管理状態が良いかどうかも重要なポイントです。
- 周辺環境:最寄り駅からの距離、スーパーやコンビニなどの商業施設の有無、学校や病院などの公共施設の充実度、治安状況などを確認します。周辺環境は、入居率に大きく影響します。
- 法的規制:建築基準法や都市計画法などの関連法規を確認します。再建築不可物件や容積率・建ぺい率の制限など、将来的なリスクを把握しておくことが重要です。
- 過去の修繕履歴:大規模修繕工事の実施状況や内容、今後の修繕計画などを確認します。修繕積立金の残高も重要な情報です。
4.2 収支計画の綿密なシミュレーション
収支計画は、投資の成否を左右する重要な要素です。楽観的な見通しではなく、現実的な数値に基づいてシミュレーションを行いましょう。
| 項目 | 金額(想定) |
|---|---|
| 購入価格 | ○○万円 |
| 諸費用 | ○○万円 |
| 年間収入(家賃収入) | ○○万円 |
| 年間支出(管理費、修繕積立金、固定資産税、都市計画税、火災保険料、ローン返済額など) | ○○万円 |
| 年間キャッシュフロー | ○○万円 |
| 表面利回り | ○○% |
| 実質利回り | ○○% |
上記はあくまで例であり、実際の数値は物件ごとに異なります。複数のシナリオを想定し、例えば家賃収入が下がった場合や、修繕費用が想定以上にかかった場合など、最悪のケースも想定したシミュレーションを行うことが重要です。 投資を行っている方へ|金融庁なども参考に、リスクを理解した上で投資判断を行いましょう。
シミュレーションについて詳しく知りたい方は、以下の関連記事をご覧ください。
4.3 信頼できる不動産会社選び
築古区分マンション投資では、不動産会社のサポートが不可欠です。信頼できる不動産会社を選び、適切なアドバイスを受けましょう。
- 実績と経験:築古区分マンションの売買実績が豊富で、経験豊富な担当者がいる不動産会社を選びましょう。
- 情報提供の質:物件情報だけでなく、周辺環境や市場動向など、必要な情報を的確に提供してくれる不動産会社を選びましょう。
- アフターフォロー:購入後の管理や修繕についても、適切なサポートを提供してくれる不動産会社を選びましょう。
複数の不動産会社を比較検討し、自分に合った会社を選ぶことが重要です。
4.4 適切な保険への加入
予期せぬリスクに備え、適切な保険に加入しておくことが重要です。火災保険はもちろんのこと、地震保険や家賃保証保険なども検討しましょう。
- 火災保険:火災や落雷などによる損害を補償します。
- 地震保険:地震による損害を補償します。火災保険とセットで加入するのが一般的です。
- 家賃保証保険:入居者が家賃を滞納した場合の損失を補償します。
それぞれの保険の補償内容や保険料を比較し、自分に合った保険を選びましょう。
5. 不動産投資の築古区分マンションのリスク管理の重要性

築古区分マンション投資は、メリットも多い反面、様々なリスクが存在します。これらのリスクを正しく理解し、適切な管理を行うことで、安定した収益と資産価値の維持を目指せるでしょう。リスク管理を怠ると、想定外の支出や収益悪化に繋がり、投資全体の失敗に繋がる可能性があります。築古区分マンション投資におけるリスク管理の重要性を理解し、具体的な対策を講じることが成功への鍵となります。
5.1 リスク発生時の対応策
リスクは必ずしも回避できるものではありません。想定されるリスクに対して事前に対応策を準備しておくことで、被害を最小限に抑えることができます。以下に、主要なリスクと対応策をまとめました。
| リスク | 対応策 |
|---|---|
| 空室リスク | 家賃相場を定期的に調査し、適切な価格設定を行う。リフォームや設備更新で物件の魅力を高める。空室期間を短縮するため、効果的な賃貸募集活動を行う。 |
| 設備の老朽化による修繕リスク | 計画的な修繕積立金の積み立てを行う。修繕履歴を管理し、適切な時期に修繕を実施する。長期修繕計画を策定し、将来的な修繕費用を予測する。 |
| 大規模修繕リスク | 長期修繕計画の内容と実施状況を定期的に確認する。修繕積立金の残高を把握し、不足がないか確認する。必要に応じて、追加の資金拠出を検討する。 |
| 耐震性リスク | 耐震診断の結果を参考に、耐震補強工事の必要性を判断する。耐震基準適合証明書を取得しているか確認する。地震保険への加入を検討する。 |
| 金利上昇リスク | 固定金利型ローンを選択する。変動金利型ローンを選択する場合は、金利上昇に備えた資金計画を立てる。繰り上げ返済を活用して、元本を早期に圧縮する。 |
| 流動性リスク | 投資前に売却時の出口戦略を検討する。市場動向を常に把握し、売却のタイミングを見極める。信頼できる不動産会社と連携し、スムーズな売却手続きを進める。 |
5.2 リスク管理のポイント
築古区分マンション投資におけるリスク管理は以下の3つのポイントを意識することが重要です。
5.2.1 情報収集
不動産市況、金利動向、法改正など、関連情報を常に収集し、最新の情報に基づいた意思決定を行うことが重要です。セミナー参加や専門家への相談も有効な手段です。
セミナーについてもっと知りたい方は、こちらの記事も参考になります。
ぜひ合わせてチェックしてみてください。
5.2.2 専門家との連携
不動産会社、税理士、弁護士など、専門家のアドバイスを受けることで、リスクを客観的に評価し、適切な対応策を検討することができます。信頼できる専門家と長期的な関係を築くことが大切です。
5.2.3 定期的な見直し
市況や物件の状態は常に変化するため、定期的に投資計画やリスク管理策を見直す必要があります。当初の計画に固執せず、柔軟に対応することで、リスクを最小限に抑え、安定した収益を確保できる可能性が高まります。
これらのリスク管理を適切に行うことで、築古区分マンション投資の成功確率を高めることができます。ただし、不動産投資は必ずしも成功を保証するものではありません。十分な検討と準備を行い、自己責任のもとで投資判断を行うようにしましょう。
中古区分マンション投資のメリット・デメリットを解説。購入時の注意点とは?|REISM
6. まとめ

築古区分マンション投資は、初期費用を抑えられ利回りが高いなどのメリットがある一方、空室リスクや建物の老朽化リスク、金利上昇リスクなど、様々なリスクも存在します。
特に、空室による家賃収入の減少や、設備・建物の老朽化による修繕費用増加は、収支を悪化させる大きな要因となります。
また、築年数が経過している物件は、耐震基準も古い可能性があり、大規模修繕が必要となるケースも想定しなければなりません。
金利上昇も返済額増加に直結するため、リスクとして認識しておく必要があります。
しかし、これらのリスクは入念な物件調査、綿密な収支計画、信頼できる不動産会社選び、適切な保険への加入といった戦略によって軽減することが可能です。
例えば、周辺環境や競合物件の調査、修繕履歴の確認は空室リスクや修繕リスクの軽減に繋がります。また、将来的な金利上昇を見据えた収支シミュレーションも重要です。
築古区分マンション投資は、リスクを正しく理解し、適切な対策を講じることで、安定した収益を得られる魅力的な投資となり得ます。




